オーナーレポート | Vol.129

「住宅セーフティネット法」改正で変わる賃貸経営のポイント

少子高齢化が進む日本において、高齢者や障がいをお持ちの方、子育て世帯など、住まい探しに困る方々が増えています。2025年10月1日に施行される「住宅セーフティネット法」の改正は、こうした方々への賃貸住宅の提供を促進するとともに、オーナー様の賃貸経営における不安を解消し、新たな機会を創出することを目指しており、今回はこの法改正がオーナー様にもたらす主な変更点とメリットをご紹介します。

【「終身建物賃貸借」制度の改定】

高齢者の方が生涯にわたって安心して住み続けられるよう、「終身建物賃貸借」制度が創設されます。賃貸人が事前に建物ごとに事業認定を受けることにより終身建物賃貸借契約を締結することが可能となります。

オーナー様のメリット:賃借人が終身で入居するため、空室期間が減り、安定した家賃収入が期待できます。また、賃借人が亡くなった時点で契約が終了し、賃借権が相続されないため、その後の管理もスムーズになります。建物要件としてバリアフリーが求められますが、公正証書での契約が不要となり使いやすくなります。

【残置物処理の負担軽減】

賃借人がお亡くなりになった際の残置物(遺品など)の処理は、これまでオーナー様の大きな懸念事項でした。これまで国交省からは残置物撤去のモデル条項が提示されていますが、普及していません。

法改正により、自治体から指定を受けた居住支援法人が賃借人からの事前の委託に基づき、残置物の処理業務を行うことが可能になり、残置物処分の担い手が大幅に増加する可能性があります。

オーナー様のメリット:高齢者を受け入れる際の懸念であった残置物処理の手間や費用負担が軽減され、トラブルのリスクも低減します。これにより、安心して高齢者を受け入れやすくなります。なお弊社では残置物処分も行う家賃保証事業者を利用することにより本問題を回避しております。

【「居住サポート住宅」の創設】

新しく「居住サポート住宅」という制度が創設されます。これは、入居中の見守りや生活相談といったサポートが提供される賃貸住宅です。これまでは入居を拒まない「セーフティネット住宅」がありましたが、これに生活支援サービスを加えた新しい制度です。

オーナー様のメリット:入居者へのサポートの一部を居住支援法人などが担うため、入居者の安心感が高まり、安定した入居に繋がりやすくなります。サポート体制が明確になることで、物件の魅力が増し、入居者の募集がしやすくなる可能性があります。

物件を「居住サポート住宅」として登録することで、公的にその価値が認められ、より幅広い入居者層にアピールできます。

【家賃債務保証業者の認定制度の創設】

家賃の未回収リスクを軽減するため、住宅確保要配慮者の受け入れを原則拒まない家賃債務保証業者を認定する制度が創設されます。

オーナー様のメリット: 認定家賃債務保証業者を利用することで住宅確保要配慮者の保証がつかないという心配なく、住居を貸すことができます。

【まとめ】

今回の住宅セーフティネット法の改正は、賃貸住宅オーナー様が、高齢化社会のニーズに応えつつ、安心して賃貸経営を続けるための重要な機会となります。賃貸経営におけるリスクを軽減し、より安定した収益を目指すためにも、ぜひこれらの新しい制度の活用をご検討ください。

以上

< 一覧に戻る