オーナーレポート | Vol.86

不動産登記(相続、住所変更等)が義務化されます。

これまで任意とされていた相続登記や住所等変更登記の申請を義務化する法律の改正が令和3年4月21日に成立しました。相続登記の義務化が3年後、住所変更の登記の義務化も5年以内に施行されます。

下記は実際に存在する登記ですが、所有者が100年前に売買して以降登記は変更ありません。本人は生存している可能性は低く、相続が複数回発生している可能性もあります。

このような物件を売却するためには、所有者である登記名義者の法定相続人全員を探し出して、同意を取らなければなりません。この所有者の特定が非常に困難で、見つけ出すことができない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人を選定してもらい許可を得るなどが必要ですし、相続人が全く存在しない場合は国庫に帰属しますので相続財産管理人を選任するという手続きを行っていく必要があります。

このような物件の売却は大変手間暇がかかり、売却が非常に難しいということです。

上記のような事態を解消するために今回の法律改正が行われました。義務化になると同時に、従来煩雑であった登記の手続きを簡便化する方向性も発表されています。

義務化の内容新たな方策
住所等の変更登記の義務付け
2年以内に申請
行わないと罰則有り
・個人の申し出があれば、登記官が行政情報を検索し、不動産登記に反映 ・法人番号を不動産登記に追加することによって、法人商業登記が変更の際に、登記官が不動産登記に反映
相続登記の申請をすることを義務付け相続による取得を知った日から3年以内正当事由がない場合罰則有り・登記官が行政情報から得た死亡の事実を登記 ・法定相続人である旨を届けることで登記官が登記(単独申請可能かつ書類も簡略予定) ・登録免許税の軽減 ・登記済み所有不動産の一覧の証明書を発行

今回の法律改正では、不動産登記の義務化以外にも不動産利用の円滑化の為下記の制度が進められます。詳しくは別の機会で取り上げたいと思います。

・相続した土地を国庫に帰属する制度

・所有者不明や管理不全の不動産を管理する制度

・共有者が不明の場合の制度

・長期間遺産分割が進まない物件を法定相続で確定させる制度

・水道の引き込み等で隣地を利用する場合の権利の明確化

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