オーナーレポート | Vol.57
かぼちゃの馬車を改めて考える
今年はじめに起こった、かぼちゃの馬車問題。報道は一段落していますが、この問題を改めて賃貸経営という見方で振り返ってみます。
■かぼちゃの馬車問題とは?
かぼちゃの馬車問題とは、今年始めに東京のスマートデイズという不動産会社が運営する女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の経営が破綻した事件がきっかけで明らかになった数々の賃貸経営に関する問題のことで、大きくは下記の2つが問題となりました。
- 「かぼちゃの馬車」はスマートデイズがオーナーに家賃保証して運営していましたが、実際の賃収より多額の家賃を保証していた為、スマートデイズの経営破綻により、オーナーの賃貸経営の多くが破綻しました。オーナーの総数は700名を超えると言われています。
- スマートデイズは、「かぼちゃの馬車」を投資家に建築させ、その物件を家賃保証の上、運営していましたが、オーナーの資金調達先として斡旋していたスルガ銀行が、投資家の預金通帳の改ざんや、投資物件の評価水増しなどの不正な融資審査を行い、投資家に過剰な融資を行ったことが問題となりました。
※「かぼちゃの馬車」のCM。あのベッキーの復帰第1段のCMであったようです。
■かぼちゃの馬車問題を賃貸経営という視点で見ると
このかぼちゃの馬車問題は、金融面や投資手法での問題も多々ありますが、ここでは賃貸経営上での問題を考えて、現在のアパート経営について考えるきっかけとしたいと思います。
【そもそも市場をどう認識し、どう経営できると考えて投資したのか?】
東広島では市場があるとは言えないシェアハウスですが、トレンディドラマやバラエティ番組でも取り上げられ、都心では一定の認知度と市場があります。しかし三井住友トラスト基礎研究所が今年2月に都内のシェアハウス2,873棟29,877室を調査した結果では、稼働率90%を超す物件が1/3を超す一方で稼働率50%未満の物件も1/4近くあるなど、需要が供給に追いついていないようです。そのような中で、郊外の駅徒歩10分以上の立地、女性限定という数百棟が同じコンセプトとなる「かぼちゃの馬車」が市場性から考えて勝ち目のある物件であったのか疑問です。
しかもスマートデイズの破綻がオーナーの破綻に直結したということは、物件自体に競争力がなかったということです。通常は運営を他の会社に任せるなり、自分で運営するなりで、乗り切ることも可能であったはずです。つまり本来の顧客である入居者を無視して、スマートデイズからの借上げ賃料しか観ていなかったということです。
市場規模・相場賃料を基本として、コンセプト・立地・将来性を吟味し、理解した上で、賃貸経営をすれば、購入対象が「かぼちゃの馬車」にはならなかったのではないでしょうか。