オーナーレポート | Vol.72
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」を閣議決定

2020年3月6日、賃貸住宅管理業者を対象とした法律が閣議決定されました。本法律はかぼちゃの馬車事件などに代表されるサブリース業者の不正や、敷金精算など賃貸管理業者と入居者のトラブルが絶えない中、日管協を始めとする管理業界と国土交通省が一体となって適正な管理の法制化を進めてきたものであります。今後国会で審議され、法案通過後は1年以内の施行となります。今回のオーナー通信では、法律案の概要が発表されましたので、お伝えしたいと思います。
法案の内容は2つの項目から構成されます。
1.サブリース業者と所有者との間に関する契約の適正化
すべてのサブリース業者(家賃保証を提供する業者)と、建築業者等サブリースを勧誘する業者に対して下記のルールを義務化し、違反者には業務停止命令や罰金等を課します。
- 不当な勧誘行為の禁止
マスターリース契約(家賃保証契約)の勧誘時に、家賃の減額リスクなどを故意に告げない行為や、収支見込などについて誤った内容を告げる行為、誇大広告をパンフレットなどに表示することなどは禁止されます。 - マスターリース契約の締結前の重要事項説明の義務化
現在の宅建業法のように、契約締結前の重要事項の書面交付と説明が義務化されます。
2.賃貸住宅管理業の登録制度の創設
一定以上の管理戸数を所有する管理業者に対して、国土交通大臣の登録が義務付けされます。これまでの管理業者登録制度は任意で、実効性が疑問視されていましたが、登録を義務化することで下記ルールの遵守を促す役割を果たすと思われます。本項目も違反者には業務停止命令や罰金等を課されます。
- 業務管理者の配置
事務所毎に有資格者の配置が義務付けられます。有資格者は賃貸不動産経営管理士及び一定の講習を受けた宅建士などが候補となっています。 - 管理委託契約の締結前の重要事項説明
管理契約の締結前の重要事項の書面交付と説明が義務化されます。 - 財産の分別管理
入居者から預かった家賃等の金銭と業者の財産等を分別管理が必要となります。 - 定期報告
管理業務の実施状況をオーナーへ定期的に報告します。
以上が国会にて審議される内容です。概要を見ると現在の賃貸住宅管理業登録制度と内容はほぼ同一で、登録対象者と違反時の罰則などが新規で追加されると考えられています。弊社は現在の管理業登録制度に登録していますので、オーナー様にとって変わることはほとんどないと思っております。新規にアパート建築の勧誘を受ける場合などに本法律を思い出していただければと思います。
今後の具体的なスケジュールは過去の事案から推定すると、今秋には政省令やガイドラインが策定されて細かい業務内容が整理されていくと思われます。