オーナーレポート | Vol.123

2025年度税制改正について

2025年度税制改正大綱が昨年12月20日に閣議決定されました。今年も賃貸経営・不動産に関係するものを中心に主要な改正項目をまとめました。税制面では減税項目が多い年となりそうです。

新規制度

個人所得税の基礎控除・給与所得控除の見直し(2025年の所得税)
所得税が課税されない給与収入の上限が103万円から123万円まで拡充されます。また学生(19~22歳)の給与収入が123万円を超えた場合でも189万円までは親の扶養控除が段階的に維持される配偶者特別控除と同様の制度が新設されます。減税ですが社会保険料の壁(106万円)は残ります。

防衛特別法人税(仮称)の創設(2026年4月1日以降に開始する事業年度から)
防衛費確保のための増税です。500万円以上の法人税額に対して4%の税率がかかります。増税です。中小企業の場合、課税所得が2400万円程度までは課税されない見込みです。

既存制度の変更・延長

住宅ローン控除の子育て世代優遇措置の延長(2025年1月1日から12月31日までに住んだ場合)
昨年限りで追加された40歳未満の既婚者および40歳以上で扶養する子が19歳未満の場合の控除対象金額の特別措置が1年間延長されます。(認定住宅で最大5000万円、ZEH水準で4500万円、省エネ基準適合で4000万円)。控除率0.7%、控除期間13年は変更ありません。減税です。

生命保険料控除の子育て世代優遇措置(2026年分の申告から)
23歳未満の扶養親族がいる場合に、所得税の一般生命保険料控除が4万円から6万円に引き上げられます。減税ですが、個人年金保険や介護保険と合わせた保険料控除の総計は12万円のまま変わらないので満額の控除を受けている人は影響ありません。

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置の延長(2025年4月1日~2027年3月31日まで)
最大1000万円までを非課税として子や孫などの結婚・子育て費用を援助できる制度が2年間延長されます。減税です。

中小企業等への法人税軽減措置の延長(2025年4月1日~2027年3月31日までに開始する事業年度)
中小企業の800万円までの所得に適用される軽減税率の特例が2年間延長されます。但し所得が年間10億円を超える場合軽減税率が17%に引き上げられますので増税です。

事業承継税制の要件緩和(2025年7月1日以降の贈与から)
事業承継税制は一定の要件を満たすことで法人の場合は株式、個人の場合は事業用資産の贈与税・相続税が猶予・免除される有益な制度です。この制度の要件の一つである贈与対象の役員(法人)又は事業従事(個人)に関して、贈与3年前までに就任する必要があったのが、贈与直前に就任すればよいことになりました。減税です。

相続登記の登録免許税の免除措置の延長(2025年4月1日~2027年3月31日)
昨年から始まった相続登記の義務化に伴い、登記促進措置として行われていた登録免許税の免除措置が2年間延長されます。先代(例えば祖父から父)の相続登記をしていない場合の先代分の登記に関する登録免許税と、不動産価額が100万円以下の不動産の登記に関する登録免許税が対象です。減税です。

企業年金・個人年金制度の見直し
年金制度の掛け金の上限が上がります。特に企業年金以外の掛け金上限が大幅に上がります。 企業型確定拠出年金の月額拠出限度額が5.5万円から6.2万円に上がります。 個人型確定拠出年金(iDeCo)の月額拠出限度額が、以下のように大幅に上がります。 自営業者等は6.8万円から7.5万円。 会社員は2万円(企業年金加入者)もしくは2.3万円(企業年金未加入者)から6.2万円。 国民年金基金の月額限度額が6.8万円から7.5万円に上がります。 上記は税制上の改正ではありませんが、拠出金は所得控除になります。

以上

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