オーナーレポート | Vol.118
液化石油ガス法(プロパンガス)の省令改正について
今年の4月2日にプロパンガスの法律である液化石油ガス法の省令である施行規則が改正されました。7月2日から施行されています。この法律の省令改正、実は賃貸経営に深く関わってくる内容ですので今回レポートします。
【改正の背景】
プロパンガスは都市ガスと異なり、料金設定が事業者に委ねられています。(都市ガスはガス事業法で料金設定方法が定められています)そのためガス代が高額となっても、その妥当性がわからないという消費者からのクレームが増加しており、2017年6月1日に取引適正化ガイドラインが明示されていました。
ガス会社は賃貸住宅でのプロパンガス受注の為にこれまでオーナーが負担していたアパートの設備等を負担する営業手法を取っており、その費用を入居者のガス料金に転嫁するケースが増えていましたので、ガイドラインにも設備等の費用が含まれている場合はその旨を料金明細に記載すること、とされています。
ところが、ガイドライン発出に関わらず、ガス会社の賃貸住宅への営業の過熱が止まらない状況を鑑みて、ガイドラインではなく、省令を改正して罰則付きの規定にするという手段がとられることになったのです。
【この改正で何が変わるのか?】
2024年7月2日以降は正常な商慣習を超えた利益供与は禁止となります。「正常な商慣習」とは曖昧な表現ですが、経済産業省では、通報窓口を設け、積極的な違反企業の取締まりを開始しています。また賃貸オーナーや仲介会社に、入居希望者へのプロパンガス料金の事前提示の努力義務が課されました。
2025年4月2日からは、基本料金、設備使用料及び従量料金の3つの表示を行う三部料金制が徹底されます。このうち設備使用料にはプロパンガスと無関係の設備(エアコンなど)の設備使用料計上は禁止となります。また、賃貸住宅に関してはガスとの関係ある器具(ガスコンロやガス給湯器)の計上も禁止となります。但し設備使用料計上の禁止について、新規契約については適用となりますが、既存契約については早期移行の努力義務となっています。
【賃貸経営へのインパクト】
東広島市内のプロパンガス会社では、過剰なサービス提供によるガス受注営業はあまり聞きません。市外の一部の業者が過剰な営業をしていることは耳にしたことがあります。もし自分の賃貸住宅の設備代金をガス会社に負担させているのであれば、来年4月2日以降は、その費用をご自身で負担する必要がでてくるかもしれません。
今回の改正では既存契約に関しては、設備費用の負担について早期に移行を行うことが努力義務となっているだけです。しかしながら負担した設備費用はガス料金明細への記載が義務付けられますので、プロパンガス会社の既存契約への方針を十分に確認することが必要です。
以上