平成29年度税制改正の動向

平成29年度税制改正大綱が平成28年12月22日に閣議決定されました。賃貸経営・不動産に関係するものを中心に主要な改正項目をまとめました。今後国会に提出後3月に成立する予定です。

既存制度の変更
配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
(平成30年分以降の所得税から適用)
配偶者特別控除の38万円の控除を受けることができる配偶者の要件が、給与収入ベースで105万円から150万円に増加します。減税になります。
一方配偶者控除については、控除を受ける本人に所得制限が加わり増税に。
また、配偶者控除・配偶者特別控除ともに、控除を受ける本人の収入に応じて控除額が2段階で縮小されるので、世帯主の給与年収が1,120万円を超えると、増税になります。
高層マンションの固定資産税課税・不動産取得税の見直し
平成30年4月から新たに課税される建築物から)
高さ60m超の建築物について、建築物全体の固定資産税額を按分する床面積の割合について、1階を100とし、1階増すごとに10/39を加えた補正率で計算するというもの。39階建てのマンションでは10%の差がつきます。高さ60mの物件の目安は21階建て以上ですので東広島市内のマンションは該当しません。
なお建物全体の税額は変わらないため、高層階の人は増税、低層階の人は減税となります。なお既存のマンションは対象外です。
相続税・贈与税納税対象者の見直し
(平成29年4月1日以降の相続・贈与から適用)
日本国籍を有していても、今までは海外に5年居住すれば、国外財産について相続税・贈与税の課税対象外となっていましたが、10年居住しなければ対象外とならないことに。海外居住による相続・贈与の節税を考えていた人にとっては増税です。
非上場株式の評価見直し
(平成29年1月1日以降の相続等から適用)
類似業種の上場会社の配当金額、利益金額、簿価純資産価額について、連結決算を反映させ、比較する配当金額、利益金額、簿価純資産価額の比重が1:3:1から1:1:1に変更されます。
この改正により、利益がたくさん出ている会社の株式は、改正前よりも評価額が下がり、減税となります。
広大地評価の見直し
(平成30年1月1日以降の相続等から適用)
評価方法を面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直すとともに、適用要件を明確化する予定。
既存制度の延
土地の売買による所有権移転時の登録免許税軽減措置 平成31年3月31日まで
住宅用家屋の所有権保存、移転又は抵当権設定時の登録免許税軽減措置 平成32年3月31日まで