国立社会保障・人口問題研究所から、2045年までの人口予測が発表されました。全国では2045年に1億642万人と予想されており、2015年と比べて2000万人以上減少するとの予測がでました。
■■全国の動向■■
全体では30年で2000万人減少しますが、都道府県別でみると、2015年比で東京都のみ0.7%の増加となります。続いて沖縄が0.4%減、愛知が7.8%減、神奈川が8.9%減、他は10%以上減で地域格差が浮き彫りとなっております。とりわけ秋田の41.2%減を筆頭に青森(37.0%減)、山形(31.6%減)、高知(31.6%減)、福島(31.3%減)、岩手(30.9%減)の6県は3割以上減少すると衝撃の予測がでています。
一方過去の予測と比べると、出生率の上昇を受けて、人口の減少速度は緩和しており、前回2010年の国勢調査を基にした発表より2045年の時点で420万人ほど改善しております。
■■広島県の動向■■
広島県では30年で42万人減(14.6%減)となっており、これは福山市の人口が丸ごと無くなる程のインパクトが予想されています。
傾向としては以前から指摘されているように、都市中心部の人口減は緩やかな一方、地方に関しては減少が止まらず、30年度に人口が半減する地域もあります。(図表3)
今回の人口予測の中で注目した点は2点です。
1点目は、前回2010年の国勢調査を基にした予測と、今回の予測との差です(図表1)。全国的傾向と同様出生率の上昇を受けて人口減少は緩和しており、都市部は前回予測より大幅に回復しており、特に広島市中心部の各区が軒並み回復基調です(図表2)。近年の中心部でのマンション建設ラッシュとその人口増を反映したものと思われます。それに対し、地方に関しては、前回予測より悪化しました。もともと人口は大幅に減少すると言う予測であったのですが、その予想を上回るペースで人口減少が進んでいます。つまり、都心への移動はこの5年でますます進んでおり、都市と地方の格差は今後ますます拡がっていくと思われます。この減少は東広島市に当てはめても同様の傾向になると思われ、西条の中心部に人が集中していくものと思われます。
2点目は、安佐南区の予測悪化です。安佐南区は30年後の人口予測は2.1%増と数字だけ見れば優良地域ですが、2010年の国勢調査を基にした予測との比較では大幅に悪化し、今回下方修正されています。これは記憶に新しい2014年8月に発生した土砂災害の影響と思われます。このように、一度自然災害や、忌避要因ができてしまうと、想定以上の人口減少が進む可能性があり、現予測を持って安心することはできません。東広島市では自然災害は少ないですが、人為的要因である企業の撤退や雇用減少などによって、現在の予測が修正される可能性は十分あると思います。 賃貸経営上重要な世帯数の動向は、まだ発表されておりませんが、1世帯あたりの人数は年々減少しておりますので世帯数の減少は人口よりも緩やかに進んで行きますが、傾向としては同様となることは必至と思っています。賃貸経営はいつまで成り立つのか?どこなら成り立つのか?新規で建てるのか?リフォームで乗り切るのか?大切な判断のお手伝いをいたしますのでご相談ください。
図表1:全国および広島県内主要都市別2045年までの人口予測と前回予測との差
エリア | 調査区分 | 2015 | 2035 | 2040 | 2045 |
---|---|---|---|---|---|
全国 | 2015国勢調査での予測 | 127,095,000 | 115,216,000 | 110,919,000 | 106,421,000 |
2010国勢調査での予測 | 126,597,000 | 112,124,000 | 107,276,000 | 102,210,000 | |
予測の差 | 498,000 | 3,092,000 | 3,643,000 | 4,211,000 | |
広島県 | 2015国勢調査での予測 | 2,843,990 | 2,609,116 | 2,520,520 | 2,428,818 |
2010国勢調査での予測 | 2,825,397 | 2,498,685 | 2,391,476 | ||
予測の差 | 18,593 | 110,431 | 129,044 | ||
広島市 | 2015国勢調査での予測 | 1,194,034 | 1,175,450 | 1,150,616 | 1,122,112 |
2010国勢調査での予測 | 1,187,858 | 1,125,744 | 1,093,410 | ||
予測の差 | 6,176 | 49,706 | 57,206 | ||
安佐南区 | 2015国勢調査での予測 | 242,512 | 253,038 | 250,749 | 247,484 |
2010国勢調査での予測 | 245,488 | 263,999 | 265,489 | ||
予測の差 | -2,976 | -10,961 | -14,740 | ||
福山市 | 2015国勢調査での予測 | 464,811 | 449,846 | 440,165 | 429,585 |
2010国勢調査での予測 | 457,491 | 407,364 | 389,797 | ||
予測の差 | 7,320 | 42,482 | 50,368 | ||
東広島市 | 2015国勢調査での予測 | 192,907 | 190,961 | 187,105 | 182,341 |
2010国勢調査での予測 | 193,051 | 190,147 | 186,490 | ||
予測の差 | -144 | 814 | 615 | ||
呉市 | 2015国勢調査での予測 | 228,552 | 174,528 | 161,648 | 149,865 |
2010国勢調査での予測 | 227,459 | 174,794 | 161,954 | ||
予測の差 | 1,093 | -266 | -306 | ||
尾道市 | 2015国勢調査での予測 | 138,626 | 109,490 | 102,268 | 95,505 |
2010国勢調査での予測 | 138,897 | 110,103 | 102,790 | ||
予測の差 | -271 | -613 | -522 | ||
竹原市 | 2015国勢調査での予測 | 26,426 | 17,735 | 15,726 | 13,870 |
2010国勢調査での予測 | 26,687 | 18,969 | 17,109 | ||
予測の差 | -261 | -1,234 | -1,383 |
図表2:人口増減ベスト5
順位 | 前回比較 | 自治体 | 2015人口 | 2045予測 | 増減率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ↗前回圏外 | 広島市中区 | 136640 | 145321 | 6.4% |
2 | ↘前回1位 | 広島市安佐南区 | 242512 | 247484 | 2.1% |
3 | ↗前回4位 | 広島市西区 | 190929 | 188709 | -1.2% |
4 | ↗前回圏外 | 広島市佐伯区 | 136699 | 130452 | -4.6% |
5 | ↘前回2位 | 東広島市 | 192907 | 182341 | -5.5% |
図表3:人口増減ワースト5
順位 | 自治体 | 2015人口 | 2045予測 | 増減率 |
---|---|---|---|---|
1 | 安芸太田町 | 6472 | 2844 | -56.1% |
2 | 江田島市 | 24339 | 10774 | -55.7% |
3 | 大崎上島町 | 7992 | 3791 | -52.6% |
4 | 神石高原町 | 9217 | 4536 | -50.8% |
5 | 竹原市 | 26426 | 13870 | -47.5% |
※本文中データ及び図表は、国立社会保障・人口問題研究所が公表しているHP掲載データを独自に加工したものです。