消費税が10%になる前に確認しておきたいこと

参議院議員選挙が7月21日に実施されます。衆議院議員選挙の同時開催なども囁かれましたが、結局参議院議員選挙のみとなり、これで消費税が10%に上がるのも確実になったと認識しております。今回は消費税アップの影響とその準備についてお伝えしたいと思います。

1.消費税の仕組みのおさらい

今回の消費税は、10%への税率変更と軽減税率が話題となっておりますが、そもそもアパート等住居の家賃は非課税です。不動産収入の中の課税・非課税項目を整理すると下記のようになります。

  課税となる収入 非課税となる収入
賃貸 駐車場賃料
事務所・店舗等事業用物件の賃料
ネット代・家電代などその他収入
住居の家賃(共益費含む)
売買 アパートを含む建物の売却代金 土地の売却代金

さらに、課税となる収入であっても、前々年(基準期間)の課税売上高が1000万円を超えなければ免税業者となり、消費税の納税は不要です。事務所・駐車場など課税収入が年間1000万円を超える場合は課税業者となり消費税の納税が必要ですが、アパートの家賃収入が年間1000万円を超えても課税業者にはなりません。またアパートを売却すると建物部分が課税収入となりますので、その年の課税収入が1000万円を超えてしまう場合があります。その場合、翌年以降に課税業者になる可能性があります。なお、他にも条件がありますので、正確には担当税理士や税務署の相談員に確認してください。

2.賃貸経営への影響

すべての住居系賃貸物件のオーナーに共通することは、経費が2%増加するということです。家賃が非課税なのは募集の際、敷居が低くなることのメリットがありますが、かかった経費の消費税を借主に転嫁できないというデメリットがありますので、光熱費、修繕費、原状回復費、管理費、清掃代、すべての課税経費において増税の2%分高くなります。

課税業者の方は、課税取引(事業用賃貸および駐車場)について10月分賃料(9月末徴収分)から消費税が10%になります。前回8%になった時と同様、まずは契約書の消費税に関わる条文に基づき借主への通知等の対応を行い、消費税率変動への対応条文が契約書に含まれてない場合は、賃料変更の依頼を借主に行わなければなりません。

免税業者の方で、消費税を徴収していない方は、特に対応は不要です。
免税業者の方で、消費税を徴収している方は、上記課税業者と同様の対応となりますが、2023年10月以降は、課税業者が発行する請求書でないと借主が仕入税額控除を受けることができなくなります(インボイス制度)ので、今後課税業者として登録するなどの措置を検討する必要があります。