住宅セーフティネット法改正による賃貸市場への影響

2月3日に報道発表されましたが、高齢者や子育て世帯、低所得者などが対象となる住宅確保要配慮者に関する「住宅セーフティネット法」の改正法案が今国会で成立する見通しとなりました。

住宅セーフティネット法は平成19年に施行された法律で、住宅確保要配慮者と定義した「①低額所得者、②被災者、③高齢者、④障害者、⑤子どもを育成する家庭、⑥その他住宅の確保に特に配慮を要する者」に対して賃貸住宅の供給の促進を行うために制定されましたが、基本理念を述べることにとどまっていました。

今回の改正では住宅確保要配慮者の定義自体も含めた具体的な内容の見直しと、制度の新設が加わった大幅な改正となっており、本改正を機に住宅確保要配慮者への施策が一気に拡がる可能性を秘めています。

目玉とされる新設登録制度は、住宅確保要配慮者の入居を拒否できない賃貸住宅を都道府県が登録管理し、情報提供を行う制度です。住宅の斡旋は、市町や日管協などの不動産関係団体から構成されている居住支援協議会が行うことになります。入居を拒否しない住宅確保要配慮者は選択することができ、例えば「子育て世帯」のみを拒否しない住宅としての登録も可能となります。下記に各要配慮者の定義を掲載しますが、「子育て世帯」などは18歳以下の子供を養う家庭という、普通の家庭であり、入居を拒む動機は少ないといえます。

平成29年度の予算案では、改修費の補助や家賃への補助が検討されており、ここがオーナーにとってのメリットとなります。なお、本制度の施行は今秋の見込みで、平成32年度までに全国で175,000戸の登録を目標としています。

改正住宅セーフティネット法の仕組み

改正住宅セーフティネット法で再定義された住宅確保要配慮者

①低額所得者 その収入が国土交通省令で定める金額を超えない者
②被災者 災害(発生3年以内)に滅失または損傷した住宅に災害が発生日に居住していた者又は災害救助法が適用された市町村の区域に災害発生日に住所を有していた者
③高齢者 高齢者(世界保健機関の定義では65歳以上)
④障害者 障害者基本法に規定する障害者
⑤子どもを育成する家庭 子ども(18歳に達して以後最初の3月31日までの者)を養育している者
⑥その他住宅の確保に特に配慮を要する者 前各号に掲げるもののほか、住宅の確保に特に配慮を要するものとして国土交通省令で定める者