2019年度税制改正について

2019年度税制改正大綱が昨年12月14日に発表されました。賃貸経営・不動産に関係するものを中心に主要な改正項目をまとめました。今後国会に提出後、3月に成立する予定です。

創設された税制
森林環境税(仮称)の創設
(2024年度から適用)
地球温暖化に関わる温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、国内に居住する個人に対して年額1000円が徴収されます。市町村が個人住民税とあわせて徴収予定です。増税です。
既存制度の変更
住宅ローン減税の見直し
(消費税10%にて住宅を購入し、住宅ローンを利用した個人)
これまで一般住宅は4000万円、長期優良住宅等は5000万円を上限としたローン残高の1%を10年間減税となっておりましたが、消費税10%で購入した場合、11年目~13年目の3年間、購入した住宅の消費税2%分÷3年の金額、またはローン残高の1%のどちらか低い金額が追加で減税となります。
相続税での小規模宅地等の特例の見直し(特定事業用宅地)
(2019年4月1日以降の相続から適用)
小規模宅地等の特例について、特定事業用宅地(400㎡まで80%評価減)の制度について、相続開始3年前に取得したものは対象外となりました。ただし取得した土地に土地の評価額の15%以上の評価がある建物があれば、特例を適用できます。増税です。
教育資金の一括贈与非課税措置の見直し
(2019年4月1日以降(※1)、2019年7月1日以降(※2))
教育資金口座の活用により30歳未満の子や孫に教育目的の資金を1500万円まで非課税にて贈与できる制度がありますが、本制度が2年間延長されると共に、以下の制限が追加されました。基本的には増税となります。
 ・受贈者である子や孫の合計所得金額が1000万円以下であること(※1)
 ・23歳以上の場合、教育資金口座から学校以外の趣味等の習い事等に関わる支払いが不可(※2)
 ・学校に通っている等の条件が無ければ、相続開始3年前までの贈与について相続財産に加算(※1)
 ・学校に通っている等の条件が有れば、受贈者が30歳到達時に残高がある場合でも、贈与税を猶予(※2)
結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し
(2019年4月1日以降に拠出される資金に対して適用)
教育資金の一括贈与と同じ仕組みにより20歳以上50歳未満の子や孫に結婚・子育てが目的の資金を1000万円まで非課税にて贈与できる制度がありますが、本制度が2年間延長されると共に、受贈者である子や孫の合計所得金額が1000万円以下であることの制限が追加されました。増税となります。
空き家に係る譲渡所得の特別控除の拡充・延長
(2019年4月1日から2023年12月31日までに行う不動産の譲渡に適用)
1981年5月31日以前に建築された家屋に被相続人が亡くなる直前まで居住していた空き家に対して、相続後3年以内に売却すると3000万円の所得控除が得られる制度がありますが、本制度が4年間延長されると共に、居住要件が緩和され、要介護認定を受けて老人ホームに入所していた場合で、家屋の一定の使用があれば、3000万円の特別控除を利用できるようになりました。減税です。