近年コンプライアンスへの要求が高まってきていますが、賃貸業界においても同様にコンプライアンスが厳しく求められるようになってきています。物件広告、広告料、重要事項説明、個人情報管理、家賃督促、消防点検、LPガス料金、家電リサイクル法と、法律自体が変わったものだけではなく、法律の運用が変わり指摘が厳しくなっているものもあります。今回のオーナーレポートでは、直近で運用が大きく変わりつつある家電リサイクル法にスポットを当ててみたいと思います。
【家電リサイクル法とは】
家電リサイクル法は、排出された家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)をリサイクルし、廃棄物減量と資源の有効利用を推進するための法律です。小売業者による引取り及び製造業者等によるリサイクルが義務付けられており、消費者には、家電4品目を廃棄する際、収集運搬料金とリサイクル料金の支払い義務が定められています。上記の役割分担を賃貸住宅業界に当てはめると、排出者=賃貸住宅オーナー、小売業者=賃貸管理業者となります。
賃貸住宅における家電リサイクル法の実態】 本法律の成果として2022年度における家電4品目のリサイクル率は下記表の通りです。
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エアコン
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ブラウン管TV
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液晶等TV
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冷蔵庫・冷凍庫
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洗濯機・乾燥機
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リサイクル率 |
93%
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72%
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86%
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80%
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92%
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法定基準 |
80%
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55%
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55%
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70%
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82%
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ところが、賃貸住宅のエアコンに限ったリサイクル率は、国内全体の14%程度(131万台/年)の排出数が見込まれているにも関わらず、回収率は38.4%であり低迷を続けています。
これは多くの賃貸管理業者は自らを小売業者と認識しておらず、小売業者の引き取り義務を認識していなかったこと、エアコン工事業者は一般消費者以外のエアコンに関しては収集運搬料金とリサイクル料金を請求せず適正な処分をしないことが慣習化されていたことが原因です。
経済産業省は今年3月に大手管理業者レオパレス21に家電リサイクル法違反による勧告を行いました。これを受けて賃貸業界全体で家電リサイクル法遵守にむけた仕組み作りを開始しています。弊社でも現在の運用では家電リサイクル法違反になることを確認し、是正に向けて取り組みを開始しました。
結果として、これまで負担していなかった収集運搬料金とリサイクル料金の負担をオーナー様にお願いすることになると思いますが、法律の趣旨をご理解の上、ご協力いただければ幸いです。
以上