2021年度税制改正について

2021年度税制改正大綱が昨年12月21日に閣議決定されました。賃貸経営・不動産に関係するものを中心に主要な改正項目をまとめました。今後国会に提出後、3 月に成立する予定です。今年はこれまでの税制の延長や見直しが多く基本的には減税基調です 。

新たな制度
押印義務の見直し
(2021 年 4 月 1 日以降に提出する税務関係書類)
これまで認め印で可とされてきた確定申告書などの書類への押印が廃止されます。遺産分割協議書など実印と 印鑑証明の提出が必要であったものはこれまで通り押印が必要です。
既存制度の変更・延長
固定資産税・都市計画税の課税標準額・税額の据え置き
(2021 年 4 月 1 日の固定資産税・都市計画税)
2021年は固定資産税評価の評価替えの年ですが、今年度に限り評価が上がっても、課税標準が据え置かれ昨年と同じ税額となります。評価が下がった場合は、下がった評価に応じて課税標準が減額されます。減税です。
住宅取得資金の贈与特例の非課税枠の延長および、適用面積の緩和
(2021年4月1日から12月31日までに住宅取得資金を贈与する場合)
住宅資金の贈与については非課税枠があり2021年3月まで住宅の種類に応じて500万円~1500万円が非課税となっていました。2021年4月以降は非課税額が減額される予定でしたが、同条件のまま延長されます。また住宅家屋の適用面積が登記面積40㎡以上(従来は50㎡以上)と拡大されました。減税です。
控除期間を13年とする住宅ローン控除の延長と適用面積の緩和 (2021年1月1日から2022年12月31日までに居住した場合にも適用) 消費税 10%で住宅を購入した場合の住宅ローン減税期間の 3 年間延長の制度が延長されます。また住宅ローン減税自体の適用条件である家屋面積が登記面積 40 ㎡以上(従来は 50 ㎡以上)と拡大されました。減税です。
結婚子育て資金の一括贈与の1000万円までの非課税措置の見直し (2023年3月31日まで延長)
延長に伴い、贈与資金残高がある場合に贈与者が死亡した場合、受贈者が孫の場合相続税の2割加算の対象となるよう変更となります。基本的には減税ではありますが、これまでの制度よりは増税となります。なお成人年齢が2022年4月1日から20歳から18歳に引き下げられるに伴い、本制度の贈与対象の子・孫の年齢も20歳以上から18歳以上に引き上げられる予定です。
教育資金の一括贈与の1500万円までの非課税措置の見直し (2023年3月31日まで延長)
延長に伴い、贈与資金残高がある場合に贈与者が死亡した場合、残高は相続発生時3年以内の贈与の場合、相続税課税対象でしたが、年数関係なくすべてが相続税課税対象となります。また、受贈者が孫の場合相続税の2 割加算の対象となります。基本的には減税ではありますが、これまでの制度よりは増税となります。なお受贈者が23歳以下の場合及び学校等に在学している場合などは非課税になる例外事項は継続されます。
退職所得課税の適正化
(2022 年分の所得から)
勤続年数が5年以下の役員以外の退職金は、課税所得300万円以上について、退職所得税の計算上2分の1課税とする特例が利用できなくなります。増税となります。なお役員は勤続年数5年以下の場合、2分の1特例は2012年の税制改正で利用できなくなっています。
中小企業者等に対する軽減税率の延長
(2023年3月31日までに開始の事業年度に適用。)
中小企業等は年所得800万円以下の法人税税率は本来の23.2%から15%に軽減されていますが、本措置がそのまま2年間延長されます。減税です。